くも膜下出血の予後についてその1


くも膜下出血の予後不良で、大病と言われています。
大病とは、命にかかわる病気のことです。
いったん、くも膜下出血が発症すると、無念ことに、死亡率は約30パーセントから45パーセントだと言われています。
この確率からすると、100人の方がくも膜下出血を起こした場合、多いときで45人の方は亡くなって仕舞うということになりますよね。
命を取り留めたとしても、最悪の場合は重たい後遺症で、植もの状態になって仕舞うケースもあります。
また、マヒが出たり、失語となったり、酷い後遺症に悩むことも多いのです。
さて、ドクターDorsh氏が、1994年に発表したデータがあります。
これは、オーストラリアでの報告ですが、1960年以降、世界各地で報告されている3万2000件以上の、くも膜下出血患者について調べた結果、後遺症が残ったのは、34パーセントだったということです。
そうして、良好に回復し、社会引き返した方の割合は36パーセントだったということです。
この報告から見ても、後遺症が出る確率はかなり大きいと言えますよね。
社会復帰できないほどの後遺症が居残るとは、ご家族にとっても大変難しいことでしょう。
くも膜下出血の予後がこれほど悪いことには、やはり原因があります。
その原因は複数ありますが、主に関係が奥深いものは、初期の脳損傷であり、また、再出血であり、脳血管攣縮、そしたら、手術合併症です。
これらの4つが主な原因と言われています。

くも膜下出血の予後についてその2

ほとんど、初期の脳損傷についてお話しましょう。
動脈瘤という場所には、分厚い動脈から動脈血が入ってくるので、破裂するのと同時に、血液がくも膜下腔に広がります。
そうなると、頭蓋内圧が亢進してしまいます。
強い勢いで破裂すると、脳内まで出血が広がります。
こうなると、脳はジャンジャン水分を含むようになり、腫れてしまいます。
この状態も、また、頭蓋内圧を亢進させます。
頭蓋内圧亢進が高くなりますと、脳の血管に不具合が出てきます。
頭蓋内圧が高くなりますから、脳に十分な血液を送ることが不可能になり、脳に存在する様々な機能が停止してしまうのです。
その見本として、意識がなくなり昏睡状態になったり、危険な状態になったりします。
また、呼吸が定期的に出来なくなるなど、生命維持も厳しい状態まで陥ります。
ここから、二度と、頭蓋内圧亢進が進むと、瞳孔が変わり呼吸が停止してしまいます。
くも膜下出血の症状は、脳だけに掛かるのではなく、不整脈が出たり、肺水腫で呼吸障害が出たりします
呼吸などは、生命にかかわる大事な機能だから、このような状態になって仕舞うことは全然危ういことです。
くも膜下出血の死亡原因には、これらのことも関係しているのです。
お話した様々な障害は、最初の出血によることですので、初期の脳損傷と呼んでいます。
初期の脳損傷で、手術する間もなく、亡くなる人も多いことが、くも膜下出血の特徴と言えるでしょう。
ですから、くも膜下出血は、命を落として仕舞うくらい、こわい病気だと言われているのです。

くも膜下出血の予後についてその3


さて、予後が悪い原因のひとつが、くも膜下出血の再出血です。
これは、破裂した当日にまた出るケースが一番多いと言えるでしょう。
2週間のうちに再出血する人が20パーセントで、6ヵ月後までに再出血する人は、半分の50パーセントという確率です。
再出血になってしまうと、脳にとって更なるダメージとなります。
意識障害が出てしまうことがほとんどであり、当然ながら、死亡率も上がりますし、命が助かったとしても、根深い後遺症が余る可能性も高くなってしまう。
再出血での死亡率は、どれくらいなのかと言いますと、これがどうにも厳しく、70パーセントだと言われています。
このような状態になることは遠ざけなくてはなりません。
ですから、動脈瘤をクリッピングすることや、コイルによる動脈瘤塞栓術で、再出血を予防することが出来ます。
クリッピングとは、如何なる手術なのかと言いますと、チタン製のクリップを活かし、動脈瘤圧搾することで出血を押さえ付ける手術です。
これは、通常、発症してから48時間以内にしなければならないと言われています。
また、コイルによる手術とは、血管内治療です。
動脈瘤内に金属で出来たコイルを埋め込み、閉塞します。
コイル塞栓術と呼ばれている手術です。
これは、共に、血管攣縮を予防するための血管拡張薬動注療法もします。
脳血管攣縮も、くも膜下出血の予後が悪いとしている理由のひとつです。
クリッピング、または、塞栓術では防げないこともあります。

くも膜下出血の予後についてその4

くも膜下出血後は、脳血管攣縮と呼ばれる現象が起きます。
これは、くも膜下腔にたまった血液が溶け出し、その際に発生する物質が血管を収縮させるのです。
この不思議な現象が何故起こってしまうのか、そのメカニズムは明かされていません。
原因が特定できないため、現在のところ、確実な加療がないのです。
この脳血管攣縮はくも膜下出血から、4日目から14日くらいで起こると言われています。
脳血管攣縮になった場合、失語が出たり、マヒが残ったりと後遺症がひどくなります。
最悪のケースでは患者さんが植もの状態になって仕舞うこともあるのです。
他に手術合併症にも問題があります。
クリッピングや塞栓術など、これらは100パーセント安全だとは言えない手術です。
手術中に出血してしまう可能性もありますし、合併症が起きてしまい、厳しい後遺症に結びつく可能性があります。
このように、くも膜下出血は各種原因によって、予後が悪いと言われていますが、これは手術前の意識状態がどうにかで違ってきます。
手術前の意識が良い状態であれば、あるほど、回復も良好でしょう。
このようなケースは、その後、回復し社会復帰が出来る人も多いです。
このリスクファクターは、高血圧やアルコールの多飲などがあります。
また、先天性が認められることもありますので、家族にくも膜下出血を起こした人がいる方は発症率も上がってしまいます。
身内に心当たりのある方は、頭部のCTスキャンで検査したり、MRIなどでも検査をしたりして早期発見することが大切です。